
日本はお風呂大国であると同時に、「温泉大国」でもあります。
日本の温泉は北海道から鹿児島まで各地にあり、有名な温泉から地元の人でしか知らない小さな温泉まであります。しかし、コロナ禍で旅行へ行けない今は温泉気分の入浴剤を使うのがおすすめです。温泉気分の入浴剤は本物の温泉ではありませんが、お湯の色や香りなどで本物の温泉のような気分が楽しめます。
今回はおすすめの温泉気分の入浴剤を紹介します。
温泉とは

温泉とは、地中から湧出する温水や鉱水、水蒸気などのことです。温泉は日本と海外でちょっと違うようです。
日本の温泉
日本各地に温泉があり、有名な温泉もあれば、自分の地域にしかない隠れ温泉も存在します。
日本では「温泉法」という法律があります。日本の温泉は地中から湧出したときの温度が25℃以上であれば温泉に該当します。しかし、条件を満たせば、25℃未満の水や水蒸気、ガスも温泉となります。
日本の温泉の種類についてはこのあと紹介します。
海外の温泉
海外では温泉がないのでは?と思いがちですが、実は海外にも温泉があります。
有名な温泉では台湾の「北投温泉(ベイトウ・ウェンチュエン)」やトルコの「ヒエラポリス・パムッカレ」、ハンガリーの「セーチェーニ」など、日本と同じように気軽に入れる温泉も存在します。

しかし、海外の場合、日本のように裸では入りません。公衆の浴場では水着を着用するのが海外のお風呂の入り方です。男湯と女湯の区別はなく、混浴で入ります。日本の場合は湯治や旅情を求めて温泉に入りますが、海外ではレジャーとして楽しむため、プールのように大きな形で作られています。
一部のヨーロッパでは療養のための治療用保養地が作られており、医療保険も適用されています。
温泉の種類
日本の温泉は北海道から鹿児島までさまざまな地域で温泉があります。
泉質の種類

日本の温泉は全国どこでも同じ泉質ではありません。地域によっては温泉水の色や液性、においが異なっています。
温泉(療養泉)の泉質は以下に分類されます。
ガス性のものを除く溶存物質量としては法律上温泉には該当しないものの、泉温が25℃以上ある地下からの湧出水が温泉に該当するものです。単純温泉のうち、pH8.5以上のものは「アルカリ性単純温泉」と言います。
塩類泉
塩類泉は陰イオンの主成分により、以下に分類されます。
- 塩化物泉:陰イオンの主成分が塩素イオンの温泉です。
- 炭酸水素塩泉:陰イオンの主成分が炭酸水素イオンの温泉で、かつては「美人の湯」と呼ばれていました。
- 硫酸塩泉:陰イオンの主成分が硫酸イオンの温泉です。
同じ塩類泉でも温度によって「温泉」「冷鉱泉」と、呼び名が異なります。
特殊成分を含む温泉
塩類泉を除く温泉のうち、ガス性のものを除く溶存物質量以外の成分が少なくとも1つをその限界値以上に含まれているものです。溶存物質量以外の成分(特殊成分)は二酸化炭素、総鉄イオン、硫黄、ラドンなどがあります。
塩類泉と同様、温度によって「温泉」「冷鉱泉」と、呼び名が異なります。
日本の有名な温泉
日本の温泉は100種類以上あり、泉質はさまざまですが、どの温泉に入ったらいいかわかりませんよね。
ここで日本の有名な温泉をランキング形式で紹介します。

草津温泉は温泉の東の横綱と呼ばれており、自然湧出量は日本一です。名物の「湯もみ」は温泉の効能を薄めずに温度を下げるために実施されているそう。
下呂温泉は「日本三名泉」の一つで、飛騨川を中心とした歓楽的な賑わいや山里の風情で人気があります。

別府温泉(別府八湯温泉)は交通アクセスが良い温泉地で、浜脇・別府・観海寺・堀田・明礬(みょうばん)・鉄輪・柴石・亀川の8つの温泉郷があります。
日帰り入浴が可能なホテルが多いですが、共同浴場も多いのがこの温泉の特徴です。
道後温泉は「日本三大古湯」の一つで、夏目漱石の小説「坊ちゃん」のふるさと。四国では数少ない有名な温泉地でもあります。
箱根温泉の中でも一番古い温泉地である箱根湯本温泉。東京から1時間半で訪れることができるので、首都圏在住者にも人気のある温泉です。
北海道では有名な温泉で、泉源が多いのが特徴です。北海道旅行では必ず訪れてほしい温泉地です。

有馬温泉は「日本三大古湯」の一つで、関西では有名な温泉地です。
泉質は「金泉」と「銀泉」があり、それぞれ特徴と適応症が異なります。
指宿温泉(鹿児島県)
指宿(いぶすき)温泉は鹿児島では有名な温泉地で、摺ヶ浜・弥次ヶ湯・二月田などの温泉群があります。
普通の温泉だけでなく、砂蒸し風呂も有名です。
湯布院温泉(大分県)

由布岳の山麓にある温泉地で、同じ大分にある別府温泉と同様に人気の観光地です。
街にはおしゃれなショップやレストランも建ち並んでいます。
和倉温泉は豊富な塩分を含む「海の温泉」として知られている、北陸では有名な温泉の一つです。
人気の「しお湯玉(温泉卵)」がこの温泉の名物の味。
コロナ禍の温泉施設の事情
温泉に限らず、銭湯やスーパー銭湯などの温泉施設はコロナ禍で厳しい状況となっています。新型コロナは2020年に世界的なパンデミックが起こり、2021年以降も年々変異株として進化しており、感染拡大が衰えることはありません。
都道府県外からの旅行によって感染拡大が増えており、特に小さな町では医療施設が少ないため、壊滅的被害が起こっています。これ以上感染拡大を増やさないためにも、都道府県外をまたいでの旅行は避けるべきです。
しかし、温泉に入るにはどうしたらいいのでしょうか?

どうしても温泉に行きたいなら、日帰り温泉を楽しみましょう。旅行はせずに、地元のホテルや入浴施設で日帰りで利用するのも手です。
新型コロナの感染予防にマスクの着用は常識ですが、お風呂ではマスク着用は不可能です。お風呂はマスクを外してから入るため、感染リスクにつながる恐れがあります。ホテルや入浴施設の日帰り温泉を楽しむ際は、会話なしの「黙浴」をすることをおすすめします。
スーパー銭湯などにあるサウナは大人数で、しかも密室で入ることになり、感染のリスクが高くなるため避けるべきです。

自分の地域内に温泉がある場合は、「温泉スタンド」を利用しましょう。
温泉スタンドは無料または低価格で温泉水を購入または持ち帰る施設で、ガソリンスタンドの給油と同じように温泉水を給水して、自宅の浴槽に注いでから、普通にお風呂に入るだけ。温泉スタンド利用の際は、必ず温泉水専用のポリタンクを持参しましょう。
自分の地域内に温泉スタンドがあるか知りたい方は、お住まいの地域の自治体に確認してください。
温泉の入浴剤はニセモノ!?

コロナ禍で温泉に入れない方は、「温泉気分」の入浴剤がおすすめです。
普通の入浴剤のお風呂の湯は温泉じゃない!と思う方もいます。結論から申し上げますと、入浴剤で本物の温泉を再現するのは不可能です。温泉気分の入浴剤はあくまでも香りやお湯の色、湯ざわりで温泉に浸かっている気分を味わえる入浴剤です。
温泉気分の入浴剤の選び方
温泉気分の入浴剤を選ぶ際は、以下の4つのポイントをチェックしましょう。
温泉気分の入浴剤で必ずチェックしてもらいたいのが、「医薬部外品」であること。医薬部外品の入浴剤は一定の厳しい基準をクリアした商品で、効能や有効成分の表示が可能です。温浴効果が高いため、温泉のように効果を重視したい方は、パッケージの裏面もチェックしましょう。
透明タイプとにごり湯タイプがある
温泉気分の入浴剤は、香りや色、湯ざわりで温泉地を表現しています。お湯の色は温泉地に合わせた、色つきの透明タイプと白濁したにごり湯タイプがあります。
また、複数の温泉地の入浴剤が入ったアソートセットだと、ご自宅で国内旅行気分が楽しめますよ。
メーカーがちゃんと温泉地を調査しているかをチェック
温泉気分の入浴剤は、メーカーが実際に温泉地を訪れて、温泉成分や湯ざわりなどを調査して作られている商品もあります。選ぶ際はメーカーが温泉地の調査をしているかをチェックするとよいでしょう。
湯の花と硫黄成分
普通の温泉気分の入浴剤では物足りない方は、「湯の花」「硫黄成分」の入浴剤がおすすめです。
湯の花は温泉の成分が結晶化して沈殿したもので、別府温泉の湯の花が有名です。
硫黄の入浴剤はかつてはありましたが、現在の入浴剤では硫黄は一切入っていないものがほとんどです。本物の硫黄まではいきませんが、硫黄成分が入っている入浴剤では、温泉地特有のにおいの一つである卵の腐った独特のにおいが楽しめます。ただし、使用の際は入浴以外の用途では絶対に使わないでください。
また、これらの入浴剤は追い炊きができず、給湯器に悪影響を与えてしまうことがありますので、使う際は給湯器のメーカーなどに確認しましょう。
おすすめの温泉気分の入浴剤10選
最後はおすすめの温泉気分の入浴剤10選を紹介します。好きな温泉地の入浴剤があれば、ボトルや分包タイプで楽しめます。
複数の温泉地のセットだと、日本一周旅行気分が味わえますよ。
(注:表示している価格はメーカーの公式サイトまたは公式オンラインショップの価格です)
アース製薬が発売している商品ですが、4種類の温泉気分が楽しめます。「元湯温泉塩原温泉郷」「湯の小屋温泉水上温泉郷」「渋の湯温泉奥蓼科温泉郷」「和山温泉秋山郷温泉郷」の4種類で、有効成分とお湯の色、香りはそれぞれ異なります。
さまざまな温泉地の入浴剤を扱う専門サイト「温泉の素.com」が発売している商品で、「酸ヶ湯」は青森県にある温泉地です。古くから湯治場として栄えてきたこの温泉ですが、泉質は強い酸性を占めています。商品は本物の温泉ではありませんが、ご家庭で温泉気分が楽しめます。お湯の色は白濁、香りはイオウですが、成分に硫黄は入っていません。
- メーカー:温泉の素.com
- 価格:920円
- 容量:250g
- 形状:粉末(無機塩類系)
- 薬事区分:浴用化粧料
日本の名湯 乳頭
バスクリンが発売している温泉気分入浴剤「日本の名湯」。今回は「乳頭」を紹介します。「乳頭温泉」は秋田県にある温泉郷で、乳頭山麓に点在する10種類以上の源泉があります。
日本の名湯・乳頭は開発者が実際に温泉地を訪れ、温泉分析表をもとに湯質を色と香りで表現しています。お湯の色は乳白色、香りは「乳頭山からの涼風が運ぶ、心落ち着く緑葉の香り」です。
日本の名湯 至福の贅沢
次も日本の名湯で、今度は10種類の温泉地を詰め合わせたアソートタイプです。「登別カルルス」「乳頭」「山代」「黒川」「鳴子」「那須高原」「野沢」「奥飛騨新穂高」「湯原」「道後」の10種類の人気商品をセレクト。いろいろな温泉地の入浴剤を楽しみたい方におすすめです。
旅の宿 こだわりアソート
クラシエが発売している温泉タイプ入浴剤「旅の宿」。粉末タイプの入浴剤4種類が入ったアソートセット「こだわりアソート」を紹介します。生薬のチンピ・トウキと、こだわりの温泉成分にメタケイ酸ナトリウムなどを配合。中の商品は「登別」「草津」「箱根」「別府」の4種類で、お湯の色と香りはそれぞれ異なります。
- メーカー:クラシエ
- 価格:オープン
- 容量:13包
- 形状:粉末(無機塩類系)
- 薬事区分:医薬部外品
「あしたるんるんラボ」は女性目線で開発したスキンケアやサプリメントなどを販売している会社です。
今回紹介する「るんるんの湯」は「限りなく温泉に近い入浴剤」をコンセプトに開発しました。成分に別府温泉で作られた天然の温泉の素「湯の花」を配合。無香料・無着色で、人工香料は不使用です。おうちで温泉を楽しみたい方におすすめです。商品は小袋タイプのほかに、大容量タイプ(3,498円)もあります。
- メーカー:あしたるんるんラボ
- 価格:814円
- 容量:60g×3袋
- 形状:粉末(無機塩類系)
- 薬事区分:医薬部外品
美肌の湯
インターネットショップ「DOKA-SHOP(ドカショップ)」が発売している商品で、アルカリ性単純泉のような湯ざわりが楽しめる温泉気分の入浴剤です。有効成分に炭酸ナトリウムと塩化ナトリウム、乾燥硫酸ナトリウムを配合。無香料・無着色です。価格はちょっとお高いですが、本格的な温泉のような湯ざわりをおうちで楽しみたい方におすすめです。
- メーカー:DOKA-SHOP
- 価格:2,450円
- 容量:600g
- 形状:粉末(無機塩類系)
- 薬事区分:医薬部外品
温素 澄明の湯
こちらもアース製薬の商品で、先ほど紹介した「温泉郷めぐり」とは違い、アルカリ湯質の温泉のような湯ざわりにこだわった商品です。温泉成分に炭酸水素ナトリウム、アルカリ温泉成分に炭酸ナトリウムを配合。香りはひのき、お湯の色は無色透明です。
- メーカー:アース製薬
- 価格:オープン
- 容量:600g
- 形状:粉末(無機塩類系)
- 薬事区分:医薬部外品
いい湯旅立ち 檜の香り
白元アースが発売している温泉タイプ入浴剤「いい湯旅立ち」。その中から「檜の香り」を紹介します。温泉成分の硫酸ナトリウム配合で温浴効果を高めて血行を促進し、疲労回復などに効果があります。保湿成分にヒアルロン酸を配合。香りはひのきで、お湯の色は乳橙色のにごり湯です。
- メーカー:白元アース
- 価格:オープン
- 容量:660g
- 形状:粉末(無機塩類系)
- 薬事区分:医薬部外品
草津の湯 イオウの香り
この商品は草津温泉のお土産店で販売されているもので、草津温泉の気分をおうちで楽しむための入浴剤です。草津温泉は硫黄の香りが特徴の温泉地で、関東地区では有名な温泉です。この商品も香りがイオウの香り。ただし、成分に硫黄は含まれていません。
- メーカー:湯の香本舗
- 価格:2,138円
- 容量:500g
- 形状:粉末(無機塩類系)
- 薬事区分:浴用化粧料
まとめ
日本の温泉は「温泉法」によって決められており、地中から湧出したときの温度が25℃以上であれば温泉に該当します。しかし、25℃未満の水(湯)や水蒸気、ガスも一定の条件を満たせば、温泉に該当する場合があります。
コロナ禍で温泉施設が厳しい状況になり、都道府県をまたいでの旅行は避けなければなりません。どうしても温泉に行きたい場合は地元で日帰り温泉や温泉スタンドを利用しましょう。ただし、日帰り温泉は感染拡大防止のため、黙浴をするのが条件となります。
おうちで気軽に温泉気分を楽しみたい方は、温泉気分の入浴剤を活用しましょう。選び方は医薬部外品であることと、メーカーがちゃんと温泉地を調査しているかなど、安全性と品質にもこだわっているのかをチェック。もっと本物のような温泉を楽しみたい方は湯の花や硫黄成分の入浴剤を選ぶのも手です。
温泉気分の入浴剤で、おうちで温泉気分を楽しみましょう。
*参考サイト*
温泉とは(日本温泉協会):https://www.spa.or.jp/onsen/477/
温泉ってなあに?(愛知県衛生研究所):https://www.pref.aichi.jp/eiseiken/4f/onsen_b.html
温泉大国は日本だけじゃない!海外で人気な「絶景温泉スポット」8選(RETRIP):https://rtrp.jp/articles/61510/
世界に誇る日本文化、温泉の魅力とは?海外との違いも解説(にほんご日和):https://haa.athuman.com/media/japanese/culture/2343/
にっぽんの温泉100選(日本旅行):https://www.nta.co.jp/yado/onsen/onsen100/
別府八湯温泉道とは (べっぷはっとうおんせんどう)(別府八湯温泉道):https://onsendo.beppu-navi.jp/introduce/whats-onsendo/
有馬温泉について(有馬温泉観光協会):http://www.arima-onsen.com/onsen.html
ウィキペディア(指宿温泉):https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8C%87%E5%AE%BF%E6%B8%A9%E6%B3%89
海の温泉 和倉温泉(じゃらんnet):https://www.jalan.net/jalan/doc/news/button/0583075301/
【2022年9月】温泉の素のおすすめ人気ランキング23選【徹底比較】(mybest):https://my-best.com/69
コロナ禍の新マナー温泉は“もくよく”で(NHK):https://www.nhk.or.jp/kagoshima/tsunagaru/report/article/02.html
【動画あり】100円で自宅が温泉に!? 「温泉スタンド」使ってみた(Sデジオリジナル記事)(山陰中央新報デジタル):https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/155713